
新電力PPSポータルサイトTOP > 新電力(PPS)最新情報 > 福島原発廃炉費用を新電力にも負担させる動き
福島原子力発電所の廃炉費用が膨らみ続け、当初の予算を大幅に超える事が判明していますが、 経産省は、この廃炉費用や今後続くであろう既存原発の廃炉費用を、原発を所有している大手電力会社だけではなく、 新電力にも負担してもらう事を検討していましたが、 2016年9月20日、2つの委員会の設置を公表し、この度それぞれ初会合が開かれました。 経産省は、今後これらの委員会で議論を重ね、来年の通常国会で電気事業法改正案の提出を目指す予定としています。
	経産省が設置したのは、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」と「東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)」の2つで、
	これは、今後電力自由化が進み、現在原発を所有している大手電力会社の経営が圧迫される事が予想される中で、
	大手電力会社に原発廃炉費用負担が重くのしかかるのを軽減する目的があると思われます。
	
	電力システム改革貫徹のための政策小委員会では、電力自由化での競争活性化の方策と、
	競争の中でも公益的課題への対応を促す仕組みの具体化に向けて審議を依頼することとしています。
	この中では、新規参入組の新電力などが、既存電力会社が保有する原子力発電などのベースロード電源を容易に調達できる環境を作って行く事と、
	CO2削減に向けた取り組みや、今後続くであろう既存原発の廃炉費用などを公益的課題ととらえ、
	託送料などにその費用を上乗せする形で新電力などにも原発の廃炉費用を負担してもらう事を検討するというのが読み取れます。
	
	電力システム改革貫徹のための政策小委員会は9月27日に初会合を開きましたが、
	この中に市場整備ワーキンググループ(10月7日に初会合)と財務会計ワーキンググループ(10月5日初会合)という2つのワーキンググループを設置して
	それぞれの課題に取り組んで行くということです。
	
	また、東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)は、福島原発の廃炉費用が当初の予想をはるかに超える費用負担が必要なことが判明して行く中で、
	この費用負担が東京電力だけでまかなう事が難しい状況になっており、
	今後さらなる税負担や新電力を含めた電気料金に上乗せする形でその費用をまかなう事になる場合、
	東京電力が国民の理解が得られるような改革案を示すことで、その道筋をつけて行くことの目的が読み取れます。
	初会合は10月5日に開かれました。
	参考(経産省ホームページから)
	電力システム改革貫徹のための政策小委員会を設置
	電力システム改革貫徹のための政策小委員会(第1回)配布資料
	東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)の設置について
	東京電力改革・1F問題委員会(第1回)配布資料
	(ここまでの記事:2016年10月7日)
	
	追記:(2017/02/27) 電力システム改革貫徹のための政策小委員会の中間とりまとめが発表されました。
	経産省ではこれまで、電力システム改革貫徹のための政策小委員会を2016年では9月27日に第1回から12月16日の第4回を開き、
	また、市場整備ワーキンググループも5回、財務会計ワーキンググループは6回開いてきました。
	また、東京電力改革・1F問題委員会は2016年12月20日までに8回開かれ、
	東電改革提言が発表されております。
	そしてこの度、2017年2月9日に電力システム改革貫徹のための政策小委員会の第5回目の会合が開かれ、中間とりまとめが発表されました。
	これは、これまでの会合で示された中間とりまとめの案を、
	12月19日から今年1月17日までのパブリックコメントを経て取りまとめた中間報告となります。
	
	これによると、2011年3月に起こった福島原発事故以降に出来た、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」に基づいて現在積み立てている一般負担金を、
	本来は原発が出来た1966年から積み立てをしなければならなかったものと考え、2011年3月以前の過去の分まで遡って回収しようとするもので、
	2016年4月の電力の小売全面自由化以降に新電力と契約した一般家庭などの需要家も、過去には原子力の電気を利用していたので、これを負担させる仕組みとなります。
	その分の差額とされる金額は2.4兆円と試算されていて、これを2020年の発送電分離以降に、託送料に上乗せして回収しようというものです。
	託送料は、新電力を含めた全ての小売電気事業者が支払うものとなりますので、
	これにより、間接的に新電力と契約した一般家庭を含めた全需要家から過去分の積み立て額を回収できる仕組みが作られることになります。
	
	宅送料に原発の廃炉費用などの積み立て分を乗せて回収する方法は、特に新電力からの反発もありますが、
	主に大手電力会社が保有する石炭、大型水力、原子力で発電した比較的安定して供給できる電気をベースロード電源と位置付け、
	新たにベースロード市場を創設し、新規参入した新電力などでもその市場から安定した電力を調達しやすい仕組みを合わせて提供する考えです。
	参考(経産省ホームページから)
	電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめ
	電力システム改革貫徹のための政策小委員会
	東京電力改革・1F問題委員会